日本で働いていた頃、企業やお役所の偉い方々に同僚の外国人を紹介して会議や打ち合わせに同席する仕事をしていました。
基本的には紹介役兼通訳ということで同席させてもらっていましたが、たいていクライアントの方が「なんちゃって通訳」な僕より英語が出来る場合が多かったので、直接英語でお話しになりたいとお申し出になった場合はそのままお願いしていました。
そうお申し出になる方に多かった出だしの挨拶が、
「私の英語は下手なので、あらかじめご了承下さい。」
という一言。
いや、実際は一言でなく、いろいろ合わせて1パラグラフぐらい。
どうやら一般的にも使っている人は多いみたいです。
ネットでも多く見かけます。
- 先にそう言っておくことで緊張が解ける
- 聞く方もカタコトの英語を聞く心の準備が出来る
- これを言うとウケるので「つかみはOK」状態になる
などの効果があるという信念に基づいたある種のテクニックのようなのですが、これ、言わない方が良いと思います。
理由は以下の2つ。
1.言われた方は「そんなことないですよ」としか言えない
例えば
「俺不細工だから・・・」
「私ブスだから・・・」
って言われても、実際の美醜に関わらず「そんなことないよー」としか言えませんよね。
「痩せれば綺麗だよ」と言ったら太ってることを指摘してるみたいだし、「パーツは良いんだから」と言ったら輪郭は悪いみたいじゃないですか。
ましてや取引先やお客様や上司、講演の出演者などに上から目線では言えません(英語圏にも上下関係や本音と建前はある)。
上記の同僚たちは全員
「そんなことないです、あなたの英語はお上手です。」
と言って苦笑いしていました。
2.時間の無駄
スピーチや会議は短い方が良いですよね。そういうこと。
自分個人で言えば、たいてい通訳のアポが詰まってたので会議が長引くと次の会議に遅れるし、トイレに行きたかったりすると5分が長く感じたりするのでこの件(くだり)が長く感じてました。
また基本的に英語圏の場合、会議でも授業でもテストでも仕事でも、予定されていた時間より早く終わった場合は、何もしないのに律儀に残ったりしない文化なので(カナダだけ?)、「スピーチが短いイコール早く帰れる」なので、長いスピーチ(とくに非ネイティブによるアーとかウーが多いカタコトのスピーチ)はわりとうんざりされます。
フレンチカナディアンで英語が第一言語ではないとか、イギリス出身でイギリスのアクセントが強いという人たちが同じように最初に断りを入れておくことはありますが、その場合は
「私の第一言語は仏語なので、聞き取れなかったらストップして聞いてね。」
「私はイギリス出身なのでよく聞き取れないらしいので真剣に聞くように。」
というように、自虐ではなく
「おまえらしっかり聞いとけよ」
というノリで言っていることが多いように見受けられます(それでつかみはOK)。
アングロ・カルチャーでは謙遜が美徳ではないので、謙遜しても自虐としか受け取られない可能性大です。
それよりも早く本題に入った方が良いかもしれません。
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