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若手お笑い芸人のYouTubeを見ていると、「彼らは僕らと同期なんですよ」というのをよく聞きます。
ベテラン芸人が若手芸人に「君らの同期は誰なの?」と聞いてる動画も見ました。
これって最近のことですよね?
昭和のお笑い芸人は下積み時代を師匠の付き人や運転手をしていたりして「同期」の基準があいまいだったと思います。
それが芸人になるにはお笑い養成所に行くのが当たり前になって、「同期」が分かりやすくなりました。入学や卒業が一緒ですもんね。
※「最近」って、昭和だったのも30年以上前の話ですが…
アナウンサーも同期トークをよくする人たちですよね。
普段は言葉遣いがきちんとしていてご自身の話は控えめなテレビ局のアナウンサーが同期入社のアナウンサーの暴露話をするというのはありがちな微笑ましい茶番です。
アイドル歌手の世界でも、最近は加入・脱退を繰り返しながらグループ自体は存続させるグループアイドルが主流なので「3期生だけでコンサートを」とか「カップリング曲は9期だけで歌唱」とか「同期」というのをよく聞くようになりました。
いや、昔のソロのアイドル歌手だって、賞レースの新人賞というわかりやすい指針もあって、40年経った今でも「〇〇ちゃんとは同期なんです」と話したりしています。
一度でも社会人を経験した人なら「同期」と言う言葉の重みが分かると思います。同期しか共有できない色々な感情や内輪ネタ、まさに同期の絆です。
この「同期入社」とか「同期の絆」みたいな感覚、英語ではあまり表現されないんです。
学生であれば一緒に卒業する仲間を「Class of 1995」(卒業式が1995年)のように表現したりして同じ時期に同じ学び舎で時間を過ごしたことを大事に思うみたいな概念はありますが、仕事ではそういうのは無いみたいです。
というのも、英語圏(といっても僕はカナダしか知りませんが)の就職事情が日本と違うからです。
新入社員は一斉に〇月に入社というよりは経験者が各自バラバラに入社する感じです。
さらに上下関係は年齢でも入社年度でもなく、役職で決まります。そもそも管理職も求人して採用するので、他社から転職してきた中途採用者(つまり自分より後から入社した人)が自分の上司なんてこともよくあります。
そしてそもそも英語は日本語の「そうです」「そうだよ」「そうなの」のように語尾を相手によって細かく変える必要もないことからわかるように(ちなみにこの場合全て Yes, it is) 先輩・後輩で口調を変えたりしません。
限られた僕の経験上の話ですが、新入社員も中途社員も、新人だからと謙虚に腰を低くすることなく、初日から普通にしています。わかりやすく例えるなら、初めて会う他部署の人や勉強会・交流会の参加者みたいな感じです。お互いに対等な感じ。先輩が威張ってないし、新人も委縮してない。
英語圏の職場だと、職場において同期だけで何かを乗り越えたり、同期だけがつらい目に遭うようなことがないから「同期入社」みたいな表現が無いのかもしれません。