◆ 毎回 How are you? と聞いてくる謎
中学校の英語の教科書の一番最初に出て来る、「How are you?」という有名なフレーズ。
大人向けの英会話スクールでも、初心者向けの教科書のレッスン1は大抵それですよね。
海外で生活するまでは
「教科書だからちょっとフォーマルにしてるのかな。実生活ではあまり言わないことも初心者にはとりあえず教えておくのかな」
ぐらいにしか思っていませんでした。
でも実際に英語圏で生活すると、よく聞かれるんですよね、 How are you? って。
特に親切な人というか、気を配ってくれる人ほど聞いてくる気がします。
例えば待ち合わせのカフェの席で、まず「How are you?」。
元気だった?コーヒー注文してくるね、とカウンターへ行き、コーヒーを手に席へ戻り「So, how are you?」。
会ってすぐ聞いたやん…。そんでこっちも Good, thanks って答えたやん...。
職場でもそうで、出勤してすぐ「Good morning, how are you?」みたいな会話をしたのに、数時間後に質問しに話しかけると、また「How are you?」。
なんでやねん、ってずっと思っていました。関東出身ですけど。
◆ How are you? はご機嫌伺い
でも、ハッとするんですよね、How are you? と聞かれると。
用件を切り出す前に「調子はどう?元気?」と聞かれるわけですから、おっと、一呼吸おかなくちゃ、相手の都合も考えなくちゃ、と思うわけです。
日本の職場でも、新しく入ってきた人にはいきなり「例の件なんだけど」なんて単刀直入には聞かないし、特に面倒見の良い優しい先輩なんかは数時間おきに
「どうですか?初日は疲れますよね。無理しないで大丈夫ですよ。」
なんて声を掛けるじゃないですか。
それに似てるのかなと思います。
話が逸れますが、昔読んだ本で、「ご機嫌伺い」という言葉が出て来て、良い言葉だと思ったことがありました。
たしか千葉敦子さんというジャーナリストの著書で、用事がないと連絡もしづらくなって筆不精になっていき、電話の一本もしなくなってしまう傾向にある人は、用が無くても“ご機嫌伺いです”と言って連絡したっていいじゃない、みたいにな内容で使われていたと記憶しています。
ご機嫌取り、じゃなくてご機嫌伺い。
さらに話がそれますが、千葉敦子さんは「ボランティアは出来る人が出来る事をする」、というようなことを80年代に提唱していました。病気の人の話し相手になってあげるとか、本を読み聞かせしてあげるとか(具体的なボランティア例は本の記憶があいまいなので不正確です、すみません)。
How are you? とちょくちょく聞くのは、それだけこちらの体調や気分を気遣ってくれてるってことなんじゃないかな、とさんざん聞かれまくった結果思うわけです。
形式だけで何も考えずに自動的に聞いてる人もいるかもしれませんが(笑)。
◆ 相手への思いやり
自分の用事ばかり済ませようとせず、まずはご機嫌いかがですか、調子はどうですか、お元気ですか、と相手の体調や機嫌を思いやってから本題に入る。
いきなり用件だけ言われるより、こちらの体調や気分を気遣うひとことがあっても良いじゃないですか。
職場なら、
「◯◯さんすみません、明日の会議の件なんですけど…」
といきなり本題に入らず、
「◯◯さん、調子はどうですか? 」
と一呼吸おいてから質問に入る(日本語で言うとヘンですが)。
店で店員さんに質問するときも、
「あのー、すみません、これの色違いってありますか」
といきなり聞くのではなく、
「こんにちは。調子はどうですか?ああ、それはよかった。あのぅ、質問なんですけど~」
と“店員も自分と同じ人間なんだ”と相手を気遣ってから本題に入る。
日本語なら「今質問してもいいですか」「お時間よろしいですか」と聞いて相手の都合を伺いますが、英語の「How are you?」 の場合、相手の体調やメンタル面など、仕事以外のことを気遣っている感じがして個人的には好きです。
僕はいつも相手の調子を聞くのを忘れて自分の用件を済ますことだけを考えてしまうので、まずはHow are you? と聞くのを習慣にしようとしているところです。
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