今回は英会話とか英文法には関係のない話ですが、皆さんが英語圏に渡航する際の心構えに役立つかも…?
二枚目日本人俳優の海外映画での描かれ方
日米(とか日英)合作の映画を見ると、現実味がなさすぎてしらけてしまうことがあります。
別に日本が日本らしく描かれていないとかそういう話ではありません。
制作に日本が関わっていれば日本が正しく描かれている場合が多いし、日本の俳優が起用されているので日本人役の俳優の日本語が片言なんてこともありません。
それなのに、です。
では何が個人的に気に入らないかというと、英語圏に渡航した日本人が現地の人と対等に描かれすぎてるからです。
溶け込みすぎ問題
いくら英語が堪能でも、ノンネイティブだとわかる英語では実社会では基本的にはお客様扱いされがちです。特に「日本からやってきた」という設定ならなおさら。
日本の刑事が海外に渡航して現地の刑事と協力するなんて設定の話の場合(これ自体非現実ですがそれは気になりませんw)、お客様扱い間違いなしでしょう。
現地の刑事は日本人の刑事と話すときには子供と話すようにゆっくり話したり、やさしく聞き返したり言い換えたりすることになると思います。
映画のように渡航してすぐ
「日本から来た〇〇刑事だ。よろしく。」
ってすぐ溶け込んでしまうのは、日本から来た偉い人を現地の上司に案内する仕事をしていた経験からすると違和感しかありません(笑)。
外国に十何年住んでるけどまだお客様扱いと感じる人、僕以外にもいるんじゃないかなぁ。
歓迎されない日本人
現地の人でも、上記の設定でいえば刑事など職場の人ならまだ失礼な態度は取らず「お客様扱い」で済むかもしれませんが、一般の人となると英語が片言の日本からやってきた人には横柄な態度を取ることもあり、差別的に感じることも出てくるでしょう。
それでも生まれも育ちもその国の人なら余裕もあって優しいことも多いですが、移民の人たちは意外と意地悪だったりするのです。
職場や趣味などで知り合ったなら同じ移民同士ということで仲良くなる場合もありますが、売店の店員など見ず知らずの人だとこちらが日本人(中国人と思ってる節あり)というだけでぶっきらぼうで失礼な接客をされることもあります。
レジで始終無口で値段さえ言わないので接客とは呼べないことも!
個人的にはそういう失礼な店員というのはアルバイトのような若い人やチップなども発生しない低賃金の仕事の場合が多いのでむしろ可哀想と思っているというか慣れましたが、聞き込み調査のシーンなど街の人と対等に話している場面では違和感があって話が入ってきません(笑)。
現地の人が言うこと聞きすぎ問題
そしてさらに新入り(特に外国から来た人)が直面する問題が。
悲しいことに「この国の事を分かっていない」という偏見があるせいか、最初は信用されないというか必ず疑われるんです。
例えば日本でも、職場という環境に他所から入ってきた人はそういう経験があるかもしれません。
新人の頃、職場で誰かがミスした場合、疑われたことはありませんか?
新人が疑われるならまだわかります。
が、新人が現地の人(英語のネイティブ)で先輩が外国人(僕のように外国で長く働いている人)の場合、新人は先輩を疑うんです。
個人的な話で他の人はどうかわかりませんが、僕の場合、誰かがミスをしてそれが誰かわからない場合、新しく入社してきた人(現地人)は必ず僕を疑います(苦笑)。
その人が困って助けてあげたとか、その人がどうしてもわからない質問があって教えてあげたとか、心から「助かった~、良かった~」みたいな経験をするまでは、こちらは外国人なので「本当に分かってんの?大丈夫?」みたいに思われてるようです。もう10年以上働いているんですけどね。
現地の新人(と言っても転職組の中年)はまるで「新入り君、ウチの会社は慣れたかい?」とでも言うように「日本人君、カナダはもう慣れたかい?」と思っているみたいです(良く言えば現地のおじさま・おばさまが気にかけてくれてる)。
仕事の処理能力や経験値と言葉がカタコトかどうかは比例しないはずですが、やっぱり初見の人には言葉がペラペラじゃないと信用されないようです。
日本のコンビニでも、店員が日本語の怪しい外国人だとちゃんとやってくれるか心配だ、なんて声も聞きますもんね。
日本語がイマイチでも長年そこのコンビニで働いていれば各種支払いや手続きの処理を早く正確に出来るでしょう。
僕はネイティブスピーカーの中途採用のみなさんから見たら“よそ者”です(何年経っても・涙)。だから新入社員のミスを発見すると「あなたの見間違いでは?」「それ私じゃないです」「もう一度確認してみては?」と言われて信用してもらえないのです。
しばらく一緒に働いて、彼らのピンチを救ってあげて初めて信頼される(頼られる)ようになった経験しかないので(それでもまた新人が入ったら同じことの繰り返し)、赴任した初日から現地の人みんなが話を聞いてくれるストーリー展開にはまたまた違和感です。
移民が少なすぎ
街にもよりますが、英語圏ではちょっとした街なら移民がいるのが普通になってきています。
親が移民で本人は生まれも育ちもその国という、見た目では外国人か現地人か判断できない人もたくさんいます。
例えば日系二世、三世…と呼ばれる人たちがそうですね。見た目は日本人でも、中身は現地人。
買い物に行っても、バスに乗っても、現地で就職しても、様々なバックグラウンド(本人や親、親戚の出身地)の人がいるんだなーと思わされることが多々あります。
なのに、日本人が活躍するドラマではそういう分かりづらい現地人は出てこなくて(日本人俳優を出すために日系人という設定はよくありますが)、日本人とヨーロッパ系しか出てこない作品が多くて非現実的だと思ってしまいます。
僕が住んでいる町は田舎なので日本人や日系人はあまり見かけませんが(都会に多い印象)、東南アジアとか中東系の人は多くはないもののどこかしらで見かけます。
英語上手すぎ
二か国合作映画で日本人が活躍するようなストーリーの場合、劇中の日本人は「在米20年の事務員」とか「在豪30年の現地コーディネーター」とかではなくて、「日本に住んでいて日本から外国に来た人」が多いと思うんですが、英語が上手すぎると思います(個人の感想です)。
その上手さが「きっと帰国子女って設定なんだな」とか「インターナショナルスクール出身って裏設定なのかもね」みたいなことを一切思わせない上手さなんです。
アクセント(特定の地方の訛り)がなくて、かといって一生懸命に英語を話すときに出る日本語訛りでもなく、やけにスラスラ言えている感じ。
やっぱりノンネイティブとわかる英語。
現実社会では、帰国子女とかでなく映画の設定のような「日本からやってきた人」なら、もっと片言で、それでいて発音はカタコトながらも自分の言葉で言ってる(頭の中で英作文しながら言葉を紡いでる)感じがするものです。
いっぱい練習したんだろうなー、たくさん音読したんだろうなー、という上手さは感じるもの、「普通の日本人」がそこまで英語スラスラ言えるか?と気になってストーリーが頭に入ってきません😢
もしかして俳優本人はペラペラなのに役のために敢えてカタコト風に喋ってるからあんな風になってしまってるのかもしれませんが。
まとめ
日本から来た人が乗り越えなければいけないことがスパッと抜けてる作品が多いので、ストーリーに出ていない裏設定で「実は言葉の壁や現地になじむまでの時間の壁を一気になかったことにできる魔法を使えるキャラがいるのでは」なんて思ってしまいます。
医療関係者が医療ドラマを、警察官が刑事ドラマを見て、それぞれ違和感しかないというように、合作映画のような日本人が海外で活躍する映画を見るとどっちでもいいことが気になってストーリーがあまり入ってきません(笑)。